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新聞錦絵

このコレクションは、近世文学の硯学である尾形仂(おがたつとむ)氏が、岳父にあたる国文学者の潁原退蔵(えばらたいぞう)氏から受け継いでこられた資料109点を、ご遺族のご厚意により福生市に寄贈されたものです。
コレクションは、木版美人画、「現時五十四情」のシリーズ、そして中心となる約70点にのぼる大阪で発行された新聞錦絵で構成されています。

新聞錦絵は、明治7年(1874)から数年間発行された木版多色刷りの一枚物で、誕生したばかりの新聞に掲載された事件や逸話を、ほぼ正確に錦絵と文章で紹介しています。明治時代になって輸入されるようになった発色のよいアニリン赤やベロリン藍の枠、題号を支え持つ天使が描かれているのが特徴です。

新聞錦絵は発行された地域によって2つの違いがみられます。1つは、東京で発行された新聞錦絵はおよそB4版で、関西で発行された新聞錦絵は東京版の半分のおよそB5版で、大きさが違います。これは、東京と関西それぞれの錦絵の版の大きさに倣ったものと考えられます。2つめは、東京の新聞錦絵は出典となった新聞名とその号数がそのまま新聞錦絵の題号と号数になっていますが、関西の新聞錦絵は出典となった新聞名や号数とは別の新聞錦絵独自の題号と発行順の通し号数が書かれているという違いです。

新聞錦絵には、江戸時代からの錦絵の雰囲気を残した画風に、躍動的でリアルな描写を取り入れています。その錦絵に添えられた文章は、新聞の記事を七五調や掛詞などを用いた文章に書き直して、漢字に振り仮名を付け、読み易いよう工夫されています。

新聞錦絵

No. イメージ タイトル 解説
1 東京日々新聞 101号 産後亡くなった母親が霊となって我が子に会いに来るという話。
2 大阪錦絵新聞 3号 女房の浮気から殺人事件に発展してしまった話。
3 大阪錦絵新聞 7号 継母が養女を虐待したという話。
4 大阪錦絵新聞 第11号 按摩へ治療を受けに来たように見せかけ、実は大布団を盗んでいった悪女の話。
5 大阪錦絵新聞 第33号 舞台のろうそくの火が、歌舞伎役者・二代目尾上多見蔵に燃え移った話。
6 大阪錦絵新話 第1号 出家した夫とめぐり合う貞女の話。
7 大阪錦絵新話 第3号 幼いながら読み書きができる子供の句を紹介する記事。
8 大阪日々新聞紙 第14号 力持ちの子供が、のちに五大力士茂市という力士になった話。
9 大阪日々新聞紙 第22号 若い漁師が櫓で腹を切ってしまった話。
10 大阪錦画日々新聞紙 第6号 小学教員が娘に絡んでしまった話。
11 大阪錦画日々新聞紙 第24号 巡査が人力車曳の時次郎の原籍を調べたら、男性の姿で暮らす女性であったという話。
12 大阪新聞錦画 第3号 母親が幼い妹を殺してしまった女の子を殺し、自分も自殺した話。
13 大阪新聞錦画 第4号 亡くなった父の遺言で、息子の婚礼を父のお棺の前で執り行ったという話。
14 大阪錦画図觧 第19号 内縁の男性へ心中立てした娘の話。
15 日々新聞 第6号 母と娘が暮らしていたが、母は病気を苦に自殺してしまい、娘も入水自殺を試みるが、通りすがりの船頭に助けられたという話。
16 日々新聞 第7号 士族殺害事件を巡査が調査した話。
17 新聞図会 第3号 たけという女性の情人が殺人をしてしまった話。
18 新聞図会 第7号 能役者が大阪で新しい上演形式の芝居を上演した話。

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